学校行事×グローバルという視点での専門家コラム、学校での活用実践事例をご紹介!
北 浩一郎Koichiro kita
(株)LbE Japan代表取締役
グローバル人材育成企業
学校行事×グローバルという視点での専門家コラム、学校での活用実践事例をご紹介!
世界規模に可能性を広げるという視点からグローバル人材を定義する(その3)
「グローバル人材に必要な素養を米国でどのように定義しているのか」について書かせていただく前に、ちょっとしたエピソードを紹介させて下さい。
先般、私がお手伝いさせていただいているスーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)に指定されている学校で、生徒の皆さんと「グローバル・リーダーと課題研究について考える」というワークショップを行う機会を頂きました。最後の質疑応答で生徒の一人から素敵な質問を頂きました。
「これからグローバル人材は増えるのでしょうか?」
とても良い質問です。
このコラムでも書いた通り私はグローバル化を「国内外を問わず深化を続ける社会現象」と説明しています。グローバル化という社会現象に人は適応できるようになることを求められます。グローバル人材がこれからの時代の標準形です。ですから答えは当然「イエス」です。
さらに発展させる形で私から生徒の皆さんに、「グローバル・リーダーは増えるのか?」と投げかけ、次の様に説明させて頂きました。
当然、数は増えることでしょう。ただ「ほとんどの自然現象が正規分布になる」という原則に照らし合わせると、全体に対するリーダーと言われる人々の比率は変わりません。経済において一般的に言われる、売上の8割は全顧客の2割が生み出すというパレートの法則(80:20の法則)も同様です。それが自然の摂理なのであれば、大切なことは皆さんが何をしたいかということです。この場にいることがすなわち、リーダーへの道を歩もうとする生徒さんたちの意志表明です。
私の前には未来のグローバル・リーダーたちがいました。
グローバル・リーダー育成のためには、リーダー像を明確にしなくてはなりません。これまでも様々な定義を共有してきましたが、米国ペンシルベニア州を拠点とするGlobal Leadership Excellence 社は、グローバル・リーダーに求められる素養をGlobal Competence Model™(グローバル対応力モデル=図)として明示しています。
興味深いのは、緑の部分をInternal Readiness(内的素養)、青の部分をExternal Readiness(外的素養)、つまり成長の比較的早い時期に身につくもので変化が難しい領域、そして学習や経験を通じていくらでも伸ばすことができる領域の二つに分けているところです。中心にはSelf-Awareness(自己理解)を据えています。人の素養を非常に上手く表現できていると思います。
自己理解の外側にある深緑には、Open-Mindedness(柔軟性)、Attentiveness to Diversity(多様性への興味)、Risk Taking(挑戦心)です。外的素養はHistorical Perspective(歴史理解)、Global Awareness(グローバル理解) という知識領域とIntercultural Capability(異文化対応力)、Collaboration Across Cultures(多様な文化的背景を持つ人々との協働力)というスキル領域で構成されます。
このモデルで気になるのが「内的素養の育み方」です。比較的早い生育段階の環境がグローバル・リーダーとしての性格的資質に多大な影響を与えることを示唆しています。
自身の強みや弱み、向き不向き、拠り所とする文化的特性などをきちんと理解し、偏見や先入観を持つことなく、リスクを恐れず果敢に挑戦し、何事にも柔軟に対応できる性格はどのようにして育むことができると言うのでしょう。少し頭がクラクラしてきました。
答えは直ぐに見出せるものではなさそうですので、コラムを書き続けながら様々なヒントをもとに少しずつ深めてみたいと思います。
(第4回おわり)
北 浩一郎Koichiro kita
(株)LbE Japan代表取締役
グローバル人材育成企業