アフリカ
エチオピア
一度は行きたいアフリカの絶景~ダナキル砂漠&エルタ・アレ火山~(エチオピア)
人類発祥の大陸といわれている母なる大地,それがアフリカ。
この広大な大陸を,日本人はひとくくりに「アフリカ」と呼んでしまう。そしてそこに住んでいる人も,まとめて「アフリカ人」と呼んでいることが多い。
こういった日本人の認識は,あまりに乱暴だと僕は思う。アフリカには54もの独立国があり,面積は3,020万平方キロメートル,人口は約10億人。とてもひとくくりにできる大陸ではないのだ。
多種多様な民族,宗教,歴史,そして自然景観。僕たち日本人は,もっと「アフリカ」のことを知らなければいけないと思う。
そんなアフリカを旅したとき。僕はこれまでの旅の記憶の中でも,1,2を争う絶景に身を置くことができた。
それは,ダナキル砂漠とエルタ・アレ火山。エチオピア国内にあるこの地は,簡単には行くことができない場所にある。今回は,この絶景の地を少しだけレポートしたいと思う。
ダナキル砂漠はエチオピアの北東部にあり,隣国エリトリアからほど近い場所にある。
ここにひとつ問題点がある。エリトリアはかつてエチオピアから分離独立した国であり,エチオピアとの仲が良くないのだ。1998年にはお互いの領土をめぐって紛争も発生している。
だから,このダナキル砂漠へ個人で訪問することは事実上不可能なのだ。地理的に非常にへんぴな場所にあり,治安上も個人で行くには危険がある。数年前にはヨーロッパからの観光客が武装集団に襲われ,数名が殺害されたという事件も発生している。
ダナキル砂漠に行くためには,しっかりとした旅行会社を通してガイドをやとい,同時に武装した兵士もやとって向かわなければならない。当然費用も高くつく。そういった場所にあるのだ。
起点となる町はマケレ。首都のアディスアベバからはバスで丸1日かかる。僕はこのマケレで信頼できる旅行会社を探し,ダナキル砂漠へと向かった。
さてさて,では肝心のダナキル砂漠とはどんな場所なのか?
マケレからジープで砂漠を越え,岩場を越え,たどり着いた絶景がこれである!
もはや地球上のものとは思えないこの色合い!旅人の間では,「まるでナメック星のよう」なんていう表現も流れていたが,いずれにしても本当に地球の光景とは思えない不思議な世界である。
何とも言えないこのカラフルな大地は,火山の影響によるものだという。そのため,この地域で湧き出る水には火山性の有毒なガスが含まれており,水を飲んでしまった渡り鳥などは死んでしまう。実際,いくつかの鳥の死骸を目にした。
この美しい大地から少しジープで走ると,広大な塩湖が広がっており,さらにその少し先では,地元の人々が大地から塩の岩盤をはがしていた。この板状の塩をラクダに積み,街に売りに行くというのだ。ラクダと共に砂漠を旅する期間はおよそ2週間,日本では考えられない人々の生活がそこにはあった。
さて,この美しいダナキル砂漠を後にし,ジープでさらにひた走る。すると,拠点となる小さな地元の村にたどり着いた。
ここから歩いてエルタ・アレ火山に向かうのだ。
火山の山頂まではそれほどの距離ではないし,健康な人なら体力的にもそれほどつらくはない。しかし,このエルタ・アレ火山へは日が暮れるちょっと前になってから出発をするので,足元には注意が必要だ。
しかし,なぜわざわざ暗い時間に出発をするのか?
なぜなら,このエルタ・アレ火山の山頂では,大地からとめどなく湧き出るマグマの姿を間近で見ることができるのだ!
これは本当にすごい!噴火口から溶岩の海を見下ろすことができ,そこでは炎の海がおどっているのである。
もちろん柵も何もない。一歩間違えれば落下してしまう危険もある,もちろん落ちれば間違いなく命はない。
しかし,落ちなくとも危険はある。常にマグマが湧き出ているので,激しく吹き上がってくることがあると,噴石などが飛んでくる可能性があるというのだ。実際に数年前,その噴石が直撃し,右足を失ってしまったドイツ人がいたという。
そんな危険も隣り合わせのエルタ・アレ火山の間近で見るマグマは,想像を絶する美しさなのだ。旅行中にきれいな場所へ行っても,少し見たら「よし,いいかな」となることも多いが,エルタ・アレ火山はそんなことはない。
僕たちは夜9時ころに火口に着いたのだが,深夜0時を過ぎるまで,ずっと溶岩の海をながめていた。数人の旅人と一緒に行ったのだが,誰1人として「もう帰ろうか」と口にした者はいなかった。それくらいの魅力と美しさがそこにはあった。
午前0時過ぎに火口をあとにした僕らは,途中の洞穴のようなところで仮眠をし,日が昇ってから下山した。そして,その仮眠の間中,マシンガンを持った兵士は寝ることなく僕たちを警備してくれていた。
どうでしょうか?みなさんはエチオピアに行きたくなりましたか?笑
ダナキル砂漠とエルタ・アレ火山は,いつもワンセットのツアーのようになっている。短くても3泊4日をかけて移動しなければならないし,泊まるところも野宿のようなテントになるので,少しだけ気力と体力も必要である。
しかし,そんな苦労など全て報われる絶景がそこにはある。ぜひ今度の旅行はアフリカに,エチオピアに足をのばしてみるのはいかがだろうか。
エチオピア連邦民主共和国
首都 | アディスアベバ |
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面積 | 109.7万平方キロメートル(日本の約3倍だよ) |
人口 | 約1億240万人(2016年。人口増加率は2.5%もあるんだ。) |
言語 | アムハラ語や英語 |
宗教 | キリスト教やイスラム教 |
- ▼エチオピア・エリトリア国境紛争
- 1993年にエチオピアから独立したエリトリアだけど,1998年5月,両国は国境の確定について対立し,紛争が発生したんだ。お互いの首都を空爆し合うなど,規模は極めて大きく,犠牲者も多かったんだよ。また,この紛争はロシアとウクライナの代理戦争としての側面もあった。ロシアがエチオピアを,ウクライナがエリトリアを支援していたんだ。
- ▼エチオピアコーヒー
- エチオピアは,アラビカ種というコーヒーの発祥の地なんだ。コーヒーはエチオピアの経済にとって重要な存在であり,収入の約60%を占めていて,1500万人が何らかの形でコーヒー産業によって生計を立てていると推計されているんだ。町を歩いていると,一休みしながらコーヒーが飲める,ちょっとしたコーヒーショップがあちこちにあるよ!